モノクロは甘え。カラー情報を落とすことで、人はそれを見るときに、理想的なカラーを想像(補完)して見てしまうのだろう。結果、並大抵なカラー写真では太刀打ちできなくなる。
意図的に崩したならともかく、ホワイトバランスが決まっていないカラー写真は印象が良くないが、モノクロだとカラーバランスを考慮する余地はない。
また色が多すぎてごちゃごちゃしているとき、モノクロにすることで、ごちゃごちゃ感はほぼなくなる。選択と集中、適切な引き算のできていない写真ほど、モノクロにする効果が高い。
逆に十分に引き算した写真をモノクロにすると、情報量が少なすぎて落ち着かなくなることもある。たった256色しかないので、本当に豊かな諧調は表現できない。
モノクロ専用センサーを積んだカメラは、高感度ノイズや解像度には良いかもしれないが、理想的なモノクロ写真機ではないと思う。同じ意味で、カラー写真から単に彩度をゼロにしたものも、同じくモノクロ写真の奥深さを引き出していない。モノクロフィルムだって、色ごとにトーンカーブ特性が違うはず。
カラーフィルターを付けるのはモノクロ専用機でもできるが、カラーセンサーならRのトーンカーブはハイのコントラストを強調、Gはシャドウのコントラストを強調・・・みたいなこともできてしまう。これをカラー写真でやると色味がぐちゃぐちゃになるが、モノクロでは成立してしまう。やりたい放題だ。
でも、モノクロでもEVFで見えている通りに写ってほしいと思う。モノクロでも、このミラーレスならではの巨大なメリットを手放したくない。
光学ファインダーなど、撮るときに見えている像がカラーの場合、モノクロだとこう写るはずだと想像しながら撮り、現像でそのイメージに近づけるというフローになる。見えている像と撮れる像が異なるのは、一つの縛りプレーだと思うが、それが崇高なことだとは思わない。
結果、私にとってはACROS+カラーフィルター効果での撮って出しが最強。といいつつ最後の2枚はEternaブリーチバイパスで撮って、彩度をゼロにしたもの。