諧調(トーン)の美しい写真を撮りたいが、どうすれば撮れるのか、その方法論について考えた。前に考えたときは割と適当だったので、もうちょっとHow toに踏み込んでみた。
データ収集
トーンがそこそこ美しい気がする写真をピックアップ。トーンにだけフォーカスするため、すべて白黒で見る。
次の工程のため、比較的トーンの美しいエリアが広い写真を選んだ。
これらの写真のうち、諧調(トーン)が綺麗だと思う部分を切り出して、ヒストグラムを見てみた。
共通点は①黒つぶれ&白飛びしていない、②ピークは輝度~20%、③平均輝度は25%あたり、④輝度60~70%あたりにかけてヒストグラムが右下がり、④ギザギザしていない(トーンジャンプしていない)。
分析
理論上は諧調をより詳細に見えるように、トーンを拡張してみたり、単にヒストグラムを右にシフトしたりしてみたが、逆にグラデーションの美しさは失われた。分かってはいたが、データ上で諧調があるだけでは、人の目(私の目)には良くは感じられないようだ。
仮説としては、私の目は平均輝度は25%くらいの暗さで、最大でも輝度は70%程度で、輝度の高い領域の面積は狭く、暗い領域から明るい領域までがグラデーションでつながっている場合に、トーン(というかグラデーション?)が美しい、と感じるのではないか?
レタッチ例
トーンを狙って撮ったがイマイチうまくいかなかった写真を、上記のルールに従って(ヒストグラムが狙いの形になるように)レタッチしてみた。
・・・悪くないかも。
色んなパターン
そもそも、なだらかなグラデーションのある何かを見つけるのが大前提。それを上記のようなヒストグラムになるように撮ることで美しいトーンが得られる。
このなだらかなグラデーションのある何か、というのが結構難しい。当然だが、黒つぶれや白飛びするくらいの輝度差がある場合は難しい。マジックアワーが良いわけだ。
また、ヒストグラムだけそれっぽくしても、これではトーンは特に感じない。
グラデーションのエリアはそれなりに面積がないといけない。最もトーンの美しさが分かりやすいのは連続面(平面など)だろう。
言うまでもなく、空はいい。
ある程度ヒストグラムがギザギザでも、ぱっと見は分からない。大きく印刷するとかはダメだと思うけど。トーンを見せたい場合は、レタッチ前提でRAWで撮る方がいいだろう。
面状のグラデーション領域であれば、ある程度絞ってグラデーションを被写界深度内に置くのがいい気がするが、それとは別に、ボケによってこのグラデーションを作るというのもあるのだろうとは思う。
でもこの場合は、こういうヒストグラム形状がいいとはあまり思わない。ちょっと暗すぎる。