焦点距離の組み合わせ

 焦点距離35mmと50mmのレンズはそれぞれでは楽しいが、その2本を同時に持ち出すにはあまり向かない。このような関係を仮説に基づいて考えた。

 仮に被写体まで4mの距離で、自分が±1m前後に移動するとすれば、それは”フレーム内に写る被写体の大きさ”という尺度においては、焦点距離が25% ( = 1m / 4m) 変化することと等しい。つまり50mmレンズであれば、前述の条件で、足ズームにより37.5~62.5mmのレンズと同じ大きさで被写体を写すことができる。

 なので単焦点であっても各レンズが持つこの足ズーム域が被らないように、かつ各レンズ間の空白が大きくないように、複数のレンズを持ち出すのがいい、と考えた。

 ただし広角と望遠はもっと遠景を撮ることが多いだろう。適当に上図のように、24~85mmでは撮影距離4~5mを想定(足ズームは±20~25%)、16mm以下と200mm以上では20m(足ズームは±5%)を想定した。私の考えでは、このように広角と望遠では足ズーム率が下がるため、光学ズームが必用なのである。

 これらの仮説に基づくと、各レンズの足ズーム域(守備範囲)は以下のようになる。

 もちろん、被写体と背景の大きさの比(俗に言うパース感とか圧縮効果とか)は、レンズの焦点距離によっては変わるが、足ズームによっては変えられないので、光学ズーム(またはレンズ交換)と足ズームは等価ではない。

 ここまでは大体このときの記事と同じ。


50mmが中核

 50mmを中核とするならば、28, 50, 85が良い。CONTAX Gの初期レンズ群28, 45, 90というのは、まさにこれだろう。

 私はαでは50 & 55を中核に、広角は20-40のズーム、望遠は100を使っているが、100ではなく85を買うべきだったのだろうか? 85も135も行けるから、その間の100も問題ないだろと思っていたのだが、今のところ100がぴんと来ていない。慣れだけの問題かもしれないが。

 クロスレシオの28, 50, 85の方が使いやすいと思うけど、24, 50, 105 (100)というのも昔からの定番ではある。


35mmが中核

 35mmを中核とするなら21, 35, 65あたりが良い。なるほど、CONTAX Gは後から第2ラインとして21, 35を追加してきたわけだ。最近見かける65mmという焦点距離は、35mm派の中望遠の需要なのかもしれない。

 私はGFXでFA-LimitedのFA43(換算34)とFA77(同62)を使っているが、これに近い。αでも35は使うけど、その時は交換レンズなしか、77だな。

 ライカは21, 28, 35, 50, 75 ,90というラインナップなので、28, 50, 90と21, 35, 75という2ラインあるように見える。そこに24や40はない。・・・なかなかやるではないか(上から目線)。

 ライカに倣うVoigtlanderは、これに10, 15, 40が加えられる。


どちらでもない

 24(Zeissなら25か)は割と定番だが、いずれのラインにも当てはまらない。あえて言うなら40を中核とする24, 40, 75あたりだろうか。

 FA-LimitedのFA43とFA77はまさにこれだが、その場合、広角はFA31ではなく24~25あたりを探すのがいいかもしれない。・・・DFA21?知らない子ですね。

FA-Limitedの立ち位置

お勧めとか

 50から入った人は、次に買うのは35や24や100ではなく、85と28がいいだろう。今、純正28は各社つまらないレンズ(私見)しかないので、コシナしかあるまい。

 35をメインとする人は、20~21と65あたりをサブにするのがいいのではないか。65はマイナーだがAPO-LantharかSIGMAか、という贅沢な二択だ。ライカに倣って75あたりでもいいが、これもまたマイナーである。

 各カメラメーカー、レンズメーカーはこういう組み合わせのお勧めも発信してくれるといいなと思う。ライカやFA-Limited, CONTAX Gのようなポリシーあるラインナップを見せてほしい。GMとかLとか、S-LineとかArtとか、そういう性能区切りじゃなくて。IシリーズはOK。

 各社、形が似ているだけのタムロン三兄弟(20, 24, 35)とか、ソニー三兄弟(24, 40, 50)とか、キヤノン三兄弟(24, 35, 50)とかあるけど、これらはシリーズで使ってほしいというレンズ群ではないだろう。むしろ間違って持ち出してイラっとしそう。


 どうでもいいが、私のXマウントの手持ちはFF換算21, 52, 135という飛びまくりラインになっており、ちょっと無理がある。ハイギアードというよりは、1速と3速と5速しかない感じ。まぁ色々売った結果、残ったのがその3本というだけなのだが。Xマウントをメインに使い始めた頃(2015~2019年)はFF換算27, 52, 84という超王道だった。


 本文とまったく無関係だが、写真はα7C + NOKTON 35/1.2 III VM。蕾と満開の梅の写真を撮って、大体満足してしまった。梅はまた来年、かな。