Sony E20mm F2.8買った

 FF判の6000万画素のα7CRに、13年前のAPS-C用のパンケーキレンズを付ける。何か間違っているような気もするし、これが圧倒的な正解な気もする。

買い替え

 Summilux-M 35/1.4を買った分の資金回収として、他にもいろいろ小物を売り払っているが、これもその一環でもある。レンズの売り時に合わせて買い替えに至った。さすがにだいぶプラスにはなった。

 売ったレンズは用途の被るSigma 35/2 DG DN。性能には全く文句はなかったけど、寄れないのと、ちょっとでかいんだよなぁ。Tamron 20-40/2.8と焦点距離が被るわりに、F値もサイズも劇的な差ではないのが、出番の少なさに直結していたと思う。Tamronのズームも画質はそんなに悪くないし。

 ちなみにSigma 35/2のレンタル代(売値と買値の差額÷使用期間)は約290円/月だった。そこそこ使ったし、余裕で元は取っただろう。


要求

 何度か書いた通り、私はしばらく前からα7CR用の35mmのAFパンケーキレンズが欲しい、と思っていた。用途は基本的にカフェやレストランでのテーブルフォトや、向かいの妻を撮ったりする用。その際、テーブルの上に出しておけるサイズのカメラ&レンズであってほしい。あとは50mmや85mmメインで出かけた際の、念のためのサブとして。

 旅先にはα7CRを持っていくので、α用がいい。この前の旅行ではX100Vと2台持ちだったが、さすがにスマートではなかった。世のカメラ道楽のメインストリームの人々なら、2台目としてGRを持ち出すようなシーンなのかもしれないが、私はGRは持っていないし、今のところファインダーがないカメラは買うつもりはない。

 私の要求としては焦点距離35mmで、普通にまともなAFで、25cm以内まで寄れて、そこそこの画質であること。そして全長は最長でも30mm以内で、薄ければ薄いほどいい。


調査

 新発売のSepton 40/2は楽しそうなんだけど、AFと焦点距離35mmと最短撮影距離を諦めることになる。ちょっと諦めるものが多い。特に焦点距離40mmというのが私にとっては致命的だ。

 中華レンズも含め、いくつかは候補を見てみたものの、これといったレンズが見つからなかった。パンケーキレンズはやっぱり40mmばっかりで、寄れないレンズが多い。各メーカーは、パンケーキといったら40mmか28mm・・・という思い込みをいい加減捨てて欲しいものだ。他の焦点距離のパンケーキを心待ちにしている顧客もいるんやで。昔は50mm F2とかもほぼパンケーキやったやん。

元祖か知らないが40mmパンケーキ

 ところでFujifilmにはXF23/2.8というパンケーキレンズがある。ちょっと暗いけどいいスペックだなぁ、と思っていた。もし私がX-E5ユーザーだったなら、あのキットレンズを愛用していたことだろう。DCモーターだが、店頭で使ってみた限りではAFもそこまで悪くなかった。20cmまで寄れるのはAPS-Cだからだろうなぁ。

 ・・・そこでふと思った。画素数は売るほどあるα7CRを使っているのだから、APS-Cレンズでもいいんじゃない?と。APS-Cにクロップしても2600万画素、X100Vやα6700やGR IVと一緒だ。

 で、APS-Cレンズを探していると、このE20/2.8が目に留まった。見た目からしてテカテカで安っぽいし、13年前というミラーレス黎明期のレンズではあるが、全長は20mm、最短は20cm、焦点距離は20mmと20尽くしである。APS-CなのでFF換算30mm相当。・・・とまぁ、スペックは私の要求にほぼマッチする。

 スペックとサイズ的には、昔使っていたPentaxのDA21/3.2 Limitedに近い感じだが、あれよりもさらに薄い。GRはAPS-Cで18.3/2.8なので、これも近い・・・が、あのレンズ性能はガチだからなぁ。Sony E20/2.8は解像力を語るレンズではないとはいえ、GRとはちょっと比べたくない。

 いつか、いい感じのFF判35mmパンケーキが出るまでは、これを使っていこうと思う。


使ってみて

 フィルターもフードもなしで運用するつもりだ。だが、それはこのレンズを安物として雑に扱ったり、軽んじているわけではない。この薄さこそがこのレンズの命だと思うから、むしろこのレンズの存在意義を尊重しているとも言える。

X100Vと比較

 上の写真はiPhone(Leica LUX)で撮影したが、やっぱり画質が悪いなぁ。

 全長20mmというのは、α7CRのグリップとほぼツライチ・・・とまでは言えないが、まぁ個人的には許せるラインである。そしてとにかく軽い。69gである。αで一番使っているPlanar 50/1.4 ZAはレンズだけで780gもあるのに、E20/2.8はα7CRに付けても合計588gしかない。なおX100Vは480gで、さすがにもっと軽い。

 MTFを見ると周辺は当然下がっていくが、放射方向と同心円方向でカーブがそこそこ一致しているあたり、周辺画質にも一応配慮されている気がする。中華レンズは非点収差や像面湾曲など、周辺を捨てているレンズが多いが、個人的に中広角では割と周辺画質を重視している。解像力はほどほどでいいけど、周辺が流れたり渦巻いたりするのは好きではない、という私に適しているレンズだと思った。E20/2.8では非球面を3枚も使っているのは、サイズと周辺や開放の画質のバランスを気にしてのことなんだろうな、と思っている。

 とりあえず、とっても騒がしい背景で撮ってみる。ちょっと古い高倍率ズームみたいに、もっとひどい結果になるかもしれないと思ったが、全然いけるやん。

F2.8

 30mm相当はやっぱり35mmとは結構違って、28mmに近い印象。私にとっては中広角というか広角だ。

 ボケ量はもちろん少ないが、ボケ質はそんなに悪くない。ただ絞り形状はあんまり円形ではない。点光源を入れるとちょっと角が見える。

F3.5

 解像力は、絞り開放では2600万画素に対してちょっと不足している気がする。そこまで酷いわけじゃないが、線が太めで、繊細とは言えない。2400万画素(当時は超高画素機)のNEX-7を想定して開発されたはずだけど、パンケーキであることを優先したのだろうか。ということで、2/3段絞ったF3.5で使ってみようかな。

 補正OFFにしてみたら歪曲はそこそこあったが、補正ONで使うので問題ない。倍率色収差と周辺光量落ちも同じく。

F3.5 / 歪曲収差ではなく、実物がアーチ状なのである

 開放ではコマ収差がちょっとある気がする。軸上色収差は無いとは言えないが、大したことはない。

 口径食は比較的小さめで、非点収差も少ないように思う。だからか周辺がぐるぐる流れるような描写ではないのはポイントが高い。

F4

 AFは十分速い。文句ない。

 ここまで薄いと操作性はどうでもいいが、普通にMF操作できる。が、わざわざこれでMFする人はおらんやろ。動画の人は知らないが。

 また絞りリングはなく、ピントリングが薄い代わりに、レンズ着脱時に掴む場所があるのはいい。が、ツルツルしているので手が滑る。一部でもローレットを切っておいてくれたら良かったのに。

 こんななりのレンズだが、ちゃんと金属マウントである。偏見だと思うけど、プラマウントレンズを使っているとセンサーゴミが増えそうな気がする。

F3.5

 X100V感覚で対象に寄ろうとすると、寄り切れない。0.2mというのは思ったよりも遠かった。換算35mmで0.18mというレンズ(Flektogon 35/2.4とNokton 23/1.2 X-mount)では不満を持ったことがなかったが、換算30mmで0.2mというのは私の無意識下の要求値に微妙に届いていないのかもしれない。理性では、パンケーキでこれだけ寄れれば文句ないと思うんだけどね。

 ということでまぁ、13年前のパンケーキレンズにしては・・・という前置きが必要かもしれないが、全然悪くない。でもこれを使うと、今の品質(解像力)基準では新しいパンケーキレンズは開発できないのかもなぁ、とも思ってしまう。先行きは暗い。

F4

 まぁ、スナップにはあんまり使わないと思うから、今後このレンズが本ブログに登場することは少ないだろうな、と思う。今回は無理やりスナップに使ってきたが、いやぁボケない。こんな広い画角できっちり被写界深度を深く撮るような光景が、そこらにそうそうあるわけない。


意外だったこと

 私が買ったときには普通に3本の在庫があって、その中から一番いいのを選んだが、数時間後には1本増えたうえで全部売り切れていた。その後も何度か見るも、だいたい売り切れている。びっくり。

 個人的に今はもう、一眼レフ用レンズの市場はかなり冷え切っていると思っているが、ミラーレス用であればこんな黎明期のレンズでも想像以上に市場が動いているんだなぁ。

コメントは受け付けていません。