FA77 Limited雑感

レンズの雑感を書いてみようと思う。レビューではない。

  • レンズ:smc PENTAX-FA 77mm F1.8 Limited
  • 評価:99点

忘れもしない、2006年。カメラ屋の店頭でこの中古良品レンズを自分の*ist DSに取り付けさせてもらい、シャッターを切って、衝撃が走った。その日は私の誕生日だった。すなわち、買った。

私の持っているレンズの中では、今なおBestと言えるレンズである。このレンズに出会ってしまったからレンズ沼にはまったという意味でも私の原点と言える。

シャープな解像面から、なだらかにとろけるようにぼけていく。そう、このレンズは「ふわ」ではなく、「とろ」っとボケる。

昔は解像度重視でザワっとボケるレンズが多く、また最近は解像度と両立してフワっと端正にボケるレンズが多いが、このようなこってりしたボケのレンズは私は他に知らない。

それでいて、この軽量コンパクトさ。開放から文句なく、ちょっと絞ってもなお、とろける。もちろん、しっかり絞ってシャープさを際立たせるも良し。

まさにスペックに現れない味を追求したレンズなのだろう。

ちなみにスペックに現れない弱点もいっぱいある。口径食、パープルフリンジ。役に立たない組み込みフード。付属のキャップなんて使ったことがない。AFも今となっては遅くてうるさい。が、そんな弱点を補って余りある魅力がある。

レンズ自体の外観の美しさもあり、シルバーのレンズが好きになった。

偉い人は「残りの人生をこのレンズで1枚でも多く撮ろう」と思う伴侶に出会えた時、新しいレンズを探す旅は終わる(沼の出口)と言ったが、しかし愚かなる私は「このレンズに匹敵するほかの焦点域(特に標準)のレンズが欲しい」(別の沼の入り口)と思うのであった。

当然、ほかのFA Limitedレンズも買いあさり、使い倒しているのはちょっと上の使用頻度図を見ればわかる通りだが、ここまでの感動は得られなかった。

そんなこんなで昔は敬虔なペンタキシアンwであったと思うが、今はこのレンズだけが特異であったと考えている。また、割と早くからミラーレスが素晴らしいと思っていたことから、今の一眼レフと心中する覚悟のようなPentaxとは距離を置いている。

今の私のスタンスは、Pentaxレンズはもうオールドレンズの一種。マウントアダプターを介して、最新のミラーレスのボディで使うのが正しい、と考えるに至った。

幸いにもSony EマウントでPentax KレンズのAFが作動するというどうかしているマウントアダプターが世の中には存在しているので、私はこれでFA77mmを今後も使っていく所存である。