ヒエラルキー

 フジのAPS-Cの中級機が20万を超えて、たっけー、フルサイズの中級機が買えるやんとか言っていたが、気が付くとフルサイズの中級機は40万に近い時代になっていたようだ。

Sony α7CR + Planar T* FE50/1.4 ZA

 私自身、Sony以外のカメラ機種のヒエラルキーがよく分かっていなかったので、調べてみた。いろいろエラソーに書いているが、ただの素人の感想である。

フルサイズ

 各分類は適当、かつ私の主観が多分に入っている。書き方は「機種名: 値段 (画素数)」である。値段は私調べの実売価格。万以下は四捨五入。VLOGCAMやZRなど、あきらかに動画機は除く。

分類(雑)SonyCanonNikonPanasonic
エントリーα7C: 18万 (24MP)
α7 III: 24万 (24MP)
RP: 12万 (26MP)
R8: 20万 (24MP)
Z5: 12万 (24MP)S9: 19万 (24MP)
スタンダードα7C II: 26万 (33MP)
α7 IV: 32万 (33MP)
R6 II: 29万 (24MP)
R6 III: 39万 (32MP)
Z5 II: 23万 (24MP)
Z6 II: 22万 (24MP)
Z6 III: 36万 (24MP)
Zf: 27万 (24MP)
S5: 18万 (24MP)
S5 II: 22万 (24MP)
S1 II E: 31万 (24MP)
高級機
(高画素機)
α7CR: 39万 (61MP)
α7R IV: 37万 (61MP)
α7R V: 47万 (61MP)
R5: 45万 (45MP)
R5 II: 59万 (45MP)
Z7 II: 32万 (45MP)
Z8: 54万 (45MP)
S1H: 39万 (24MP)
S1 II: 46万 (24MP)
S1R II: 48万 (44MP)
フラッグシップα9 III: 81万 (24MP)
α1: 78万 (50MP)
α1 II: 87万 (50MP)
R3: 71万 (24MP)
R1: 98万 (24MP)
Z9: 69万 (45MP)

 こうやって見ると、今もα7C IIがよく売れているのが納得できる。値段は安くもないが、AFは賢く、画素数もちょっと多く、軽量コンパクトで、ほぼ同スペックのα7 IVと比べると割安感がある。R6 IIはまだしも、R6 IIIもZ6 IIIもスタンダード機としては値段に納得感がない。Z5 IIは良い選択肢だ。

 NikonもCanonもSigmaのレンズが使えないし、CanonはTamronも選べない。私がフルサイズミラーレスを初めて買おうとする人に1台だけお勧めするとすれば、やっぱりα7C IIになるのだろう。

 フラッグシップを除き、エントリー(最安)と高級機(最高)の値段比が、Canonは約5倍に対して、Sonyは約2.5倍である。戦略の違いが見える、気がする。

Sony α7CR + Planar T* FE50/1.4 ZA

Sony

 旧機種を多数併売しているので複雑だが、スタンダードなα7無印、コンパクトなα7C、高画素のα7R、高感度のα7S、超高速機のα9、フラッグシップのα1という6ラインだ。そう、エントリー機がない。上表ではスタンダードの旧機種をエントリーに割り振った。α7S IIIは上表に載せていない。

 以前はSonyのカメラは高い、という印象があったが、今は相対的にそうでもないな。他が追い付いて、追い越した。でもまたSonyが追い越すのだろう。やだやだ。

 Canon R6 IIIが実売40万弱だったので、来るべきα7 Vも同じくらいなのだろうか。その時はα7 IVが28万くらいに値下がりしてα7 IIIはディスコンとか? もともと弱いエントリークラスがさらに弱くなるなぁ。

 Sonyの良いところは、見た目で世代の新旧、ヒエラルキーの上下を判断できないこと。10年以上前のスタンダードのα7 IIと最新フラッグシップのα1 IIも、2m離れれば見分けがつかない。良い。

 Sonyの悪いところは、名前がほぼ全部α7で分かりにくいこと。性能的にも、α1>α7<α9で分かりにくい。α9シリーズはα3とかにして、α7Cシリーズはα8とかにすればいいのに。α7Rシリーズもα5くらいにしてもいい。ま、今更無理だけど。いや、これも機種間のヒエラルキーを隠すためなのか?

Canon

 R8, R6, R5, R3, R1と5ラインある。RPの後継がR8だと思うので、ひとつにまとめた。

 R3の立ち位置があいまいな以外は、それぞれに特徴がはっきりしていて、値段レンジも広く、戦略的なラインナップだなぁと思う。

 が、エントリー機R8(20万)はともかく、スタンダード機R6(III: 39万)からすでに異様に高いな。そこに大きな溝があるように感じるが、R7という名前はAPS-Cのフラッグシップとして既にあるので、そこを埋められない。まぁ、だから旧機種R6 IIの併売を続けるのか。

 EOS 1D, 5D, 6D, 7Dの流れを踏襲したのは分かるけど、R一桁でR7だけAPS-Cなのは分かりにくい。

 あとR1は報道にも使うであろうフラッグシップなのに、真正性をかなぐり捨てて、AIによる高画素化はちょっと疑問がある。

 全体的に間口は広い(安い)のだが、ちょっと入り込むと急激に高騰する。危険だ。

 そういやCanonはレトロデザインのカメラ、出さないのかなぁ?

Nikon

 Z5, Z6, Z7, Z8, Z9という5ライン+Zf(中身はZ6 II+α?)である。企業体力の割にラインナップが多すぎやしないだろうか。Sonyと同数、Canonより多い。

 あらゆる観点でZ5 II以外を選ぶ理由がなさすぎる。外観も性能もZ5 IIが良いという以上に、他がどれも微妙・・・。中途半端なZ6シリーズを捨てれば、ちょっとすっきりする気がする。Z8にグリップ付ければ、Z9も要らんよな。Z5とZfとZ8シリーズに絞っていいんじゃないか。

 ちなみにNikon Z5初代を今も売っているのは、逆に罠な気がする。

Panasonic

 S9, S5, S1という分かりやすいラインナップに見えるが、実際のところ、割と分かりにくい。上表でS1シリーズをフラッグシップに入れなかったのはごにょごにょ・・・。全体的に痛し痒しで、ちょうどいい機種がない、というのが私の印象。

 個人的にS1II Eとかいうフラッグシップの廉価版、という意味不明なラインはちょっと。初代S1系を最上位とすると、ヒエラルキー的には現行S1IIはS2くらいの印象で、S1II EはS3くらいじゃねーの。S3と言われれば買う人もいるだろうけど、フラッグシップの廉価版と言われて買いたくなる人はあまりいないのでは?

 WEBのカメラ一覧は、モデルの通称ではなく型式名しか書かれておらず、また半端な派生モデルと、レンズキットが入り乱れていて、非常に見にくい。どうしようもない。

Sony α7CR + Planar T* FE50/1.4 ZA

各社のヒエラルキーと数字

 CanonとPanasonicは1を最上位とし、数字が大きいほど下位になるが、誰も9が最下位だとは言っていないので、10以降もあり得る。APS-Cだけど実際、Canon R10やR50, R100も存在する。Panaは現時点S9がローエンドだが、S10以降が出ないとも言い切れない。だからR8やS9のような大きな数字も平然と使えるわけだ。

 逆にCanon R3が出たときは、まだ上に1と2が残っているから、そのうち出るのだろう、ということは予測されてしまった。またPanasonicはこれが1でいいんかな?とは思う。

 一方Nikonは9を最上位として、数字が小さいほど下位になるため、1より小さい数字はないであろうことは明白である。だが、ユーザー心理的にヒエラルキー最底辺の機種を買うことに抵抗があるかもしれないので、Z1~Z4は使わないことで、Z5が最下層であるという印象を持たせない、という作戦なのだろう。・・・とか言って、Z1が出たりして。

 そしてSonyは数字にヒエラルキー的な意味を持たせない、という荒業?

ヒエラルキーCanonPanasonicNikonBMW
ハイエンドR1S1Z9×
××Z88 旗艦クーペ
R3×Z77 旗艦セダン
××Z6(6 クーペ)
ミッドR5S5Z55 中型セダン
R6××4 クーペ
×(R7)××3 小型セダン
R8××2 小型クーペ
ローエンド?×(存在しないけどR9)S9×(存在しないけどZ1)1 ハッチバック
それ以下これ以下もありうる
R10, R50, R100
これ以下もありうるこれ以下はないこれ以下はない

 どうでもいいがBMWの車は長い間3<5<7という序列だったが、ある時コンパクトハッチバックの1を追加した。あ、それやっていいんだ、と思った。まぁもちろん「サイズが小さい=価値が低い」ではないが。

 なおベンツは以前はC<E<Sのように、ヒエラルキーと直結しにくい表記だったが、今はA<B<C<E<Sと、(Gを除くと)アルファベット順になっている。


APS-C

 ついでにざっくりAPS-C機も。

分類(雑)SonyCanonNikonFujifilm
エントリーα6400: 10万R100: 7万Z30: 9万X-M5: 12万
X-T30 III: 14万?
スタンダードα6700: 19万R50: 10万
R10: 12万
Zfc: 11万X-T50: 21万
X-E5: 21万
X-T5: 26万
X-H2: 27万
高速連射機R7: 18万Z50 II: 13万X-H2S: 34万

 Fujifilmのスタンダードがダブついていること、そして約2倍高いことが分かる。約半額でCanon R10かNikon Z50 IIあたりか、それとも同じ値段でフルサイズに行った方が幸せになれると思う。Sony α7C IIやCanon R8、Nikon Z5 IIあたりに手が届くだろう。

 Fujiはフルサイズを作っていないので、フルサイズの値段レンジに合わせているのだろうか。X-T5はいいカメラだとは思うけど。

Sony α7CR + Planar T* FE50/1.4 ZA

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