10年以上M型ライカを使っている25年来の友人に、二重像で焦点距離75mmのピントって合うの?って聞いてみた。
帰ってきた答えは、「ピントは合わせる」。・・・お、おう。
使っていて楽しいの?って聞いてみた。答えは「それなりに楽しいので、一度は使ってみるべき」とのこと。なるほど、そうなのか。
あとSUMMILUX-M 50/1.4の1stと4thを貸すから、5thと比較おなしゃすと言われた。信頼されているのは嬉しいが、借りるにはちょっと値段が・・・。それに1stは違いすぎるだろうし、4thとは最短以外で違いを出すのが大変そう。なので、はぐらかす。
フィルム撮っているでしょ?M3も貸しますよ、と言われたが、これも丁重にお断り。ちょっと気になるけど、責任取れません。操作方法・・・というか作法が分からんです。初期型だから2回巻き上げ?何それ?
まぁ、友人もライカ仲間ができて嬉しいようだ。
買い時?
で、中望遠である。
その友人の使っているAPO-SUMMICRON-M 75/2・・・とはいかないけど、ULTRON 75/1.9はしばらくウォッチしていて、今が底値に近いと思うんだよね。たまに予測を外すけど、こういう私が底値だと思って買ったレンズは、大抵数年使ってから手放してもほぼ元が取れる。
なお欲しい時が買い時!と思って買ったレンズは、まぁ普通に値下がりする。
最近また1本レンズを手放したことだし、ちょっとレンタル感覚で使ってみようかな、と。
非球面不使用
Canon, Sony, Nikon, Sigmaなど多くのメーカーはレンズ名に非球面レンズを使用していることを示す表記を入れていないが、LeicaだとASPH.という表記が、VoigtlanderはそのままにAsphericalという表記がレンズ名に付く。以前はTamronもAsphericalと、PentaxはALという表記が付いていたが、いつしか消えていった。非球面が当たり前になって、それを使っていることを殊更に主張する時代はもう終わったのだろう。
そこにきて、このレンズは非球面を使っていないことを特長としてわざわざ謳っているのである。特徴ではなく、特長である。面白いよね。
5群7枚構成の光学系のうち3枚に異常部分分散ガラスを使用することで高画質を確保しながら、あえて非球面レンズは使用せず、球面収差を適度に残存させることでボケと解像のバランスを最適化。結像面の明確さを保ちつつ、アウトフォーカス部分では豊かで潤いのあるボケ味を生み出す、コンパクトなスタイルの中望遠レンズです。
https://www.cosina.co.jp/discontinued/ultron-75mm-f1-9/ より引用。
スペックとか
全長は54.1mmと十分に短く重量も290gと軽い。APO-SUMMICRON-M 75/2は66.8mmで430gなので、性能はともかくとして、かなり差がある。とにかく小さくて軽いのが良い。
75mm F1.9というスペックを見れば、嫌でも往年の私の相棒smc PENTAX-FA 77mm F1.8 Limitedを思い起こす。FA77も非球面は使っていないし、レンズ構成がちょっと似ている気がしたけど、並べてみるとそうでもないな。

群 | 1群 | 2群 | 3群 | 4群 | 5群 | 6群 |
---|---|---|---|---|---|---|
FA77 | 凸メニ | 凸メニ | 凹メニ | 両凹+両凸 | 両凸 | 平? |
Ultron75 | 凸メニ | 凸メニ | 平凸+平凹 | 両凹+両凸 | 両凸 |
2023年2月発売で、2025年7月生産終了なので、モデルライフはたった2年半しかなかったのか。ほどほどに人気があったように思っていたが、実は売れなかったのかなぁ。
実際使ってみて
正直、レンジファインダーでピントピークは見えない。やっぱり75mmはピント合わねぇじゃねーかー。冒頭の「ピントは合わせる」っていうのは「合うまでピントブラケットする」っていうことか?
最初、レンズの距離計連動の精度を疑ったが、明るいところで時間をかけて慎重に合わせたらちゃんと合うので、そこは問題ないようだ。なので単純に、ピークがよく見えない&相当慎重に合わせる必要がある、ということだ。今のところ、二重像の見えにくい夜にしか使っていないから、というのもあるかもしれない。
そして肝心の写りは・・・ああ、NOKTON 23/1.2 X-mountにも似たあの線の細い写りだ。同じ人が設計したんじゃなかろうか?知らんけど。
あれよりはイージーで、適当にピントを合わせてもまぁ綺麗なんだけど、そこからもう一段上がある。滲む中に芯があり・・・でもこれはEVFやライブビューならともかく、距離計でこのスイートスポットに合わせるのは無理じゃね?

上の画像のような写真を撮り、中央からちょい左のあたりを等倍切り出ししたのが下の画像。
こういうのをコントラストのピークと解像(ピント)のピークがずれている、って言うのかな? スイートスポットは間違いない解像のピークの方だ。ファインダーの距離計で合わせるとどっちに合うのかは、それを語れるほど精度よく&再現性高く合わせられないので、何とも言えない。
使い方のコツとしては、合わせやすいコントラストのピークで合わせてから少しピントを手前に戻してやる。こういう滲みレンズはEVFで使ったほうが良いんじゃなかろうか。
そんなわけで、収差と戯れる癖(ヘキ)のある人じゃないと、このレンズは駄作だと評価するのだろう。あとEVFで使うかどうかでも、ずいぶん評価が変わりそうだ。
微ボケは前述のように滲みが美しい。それ以上の大きなボケは特に個性的というわけではないが、かなりスッキリ上品だ。個人的には癖の強い下品なボケも好きなんだけど、これは本当に柔らかい。やはりNOKTON 23/1.2に通じる。全然FA77/1.8 Limitedとは違った。
口径食はF2.8くらいでほぼ解消する。円形絞りとは言えないけど、絞りバネ枚数が多いのでそんなにカクカクではない。絞れば光芒はちょっと出る。
以下、ピントが合わなかったシリーズ。誰だよ、ライカはピントが合ってなくても画になるって言ったやつ。
どれも奥に抜けているな。ニコンのAFかな。