NOKTON 23/1.2買った

　買うにあたって、作例やレビューをかなり探し回って、しっかり見たつもりだが、イマイチ特性を掴みきれなかった。結局中古で買って、自分で使ってみてももう一つ掴みきれない。

　いろいろ売り払ったので、とりあえずの持ち出しはゼロ、というか大幅プラス。

　質感、見た目、操作感は最高。

　ある人は開放からシャープ、ある人は開放は柔らかいと言う。私の印象は、芯はしっかりあるが、滲みもかなりある。開放からシャープだとかキレッキレだとかは決して言えない。F2まで絞れば中心付近はキレッキレになる。この豹変っぷりは面白い。

　コシナの言う「線が細い写り」というのは、エッジを立てて無理やり解像感を出している写りの対義語なんだろうし、それはまぁ好印象なんだが、一度APO-LANTHARを見てしまうと、あれがいい！って思ってしまう。そりゃそうだ。

　ちなみに適当にフォーカスすると、滲みはないが解像感も最高ではないところに合わせてしまうことがある。これに気づかなければ、絞らないとイマイチな駄作レンズだと感じてしまう。

　・・・と言う意味でピントの山というか、開放でのフォーカスのスイートスポットはすごく狭く、そして分かりにくい。F2に絞ると、かなりピントの山が分かるようになる。

　ある人は周辺が歪む、ある人は像面湾曲があるという。私の印象は、歪みは全然見えないし、像面湾曲は多少あるのかもしれないがほぼ分からない。

　ある人は軸上色収差は結構出るといい、これは私も同感だ。もうちょっと抑えてほしかった。今見ればモノクロにして隠している作例も多かった。

　また最短撮影近辺では解像感が下がるといい、これも同感だ。だが、性能ガタ落ちでもいいから寄らせてほしい、と昔から言い続けている私なので、望むところだ。

　それよりもコマ収差？がかなりあって、開放では周辺の画質は結構悪いが、それに触れているレビューは今まで見たことがない気がする。もちろん絞れば改善していく。個体差なのかなぁ。ちょっと嫌だなぁ。

　F2くらいで派手なコマ収差？は消えるが解像感は低く、F2.8まで絞っても依然として中心の高い解像感との差は大きいため目立つ。

　また全長の短さの割に口径食は大きい印象で、四隅では半月状近くまで削れる。

　中広角だが後ろボケが柔らかく、玉ボケにも縁取りが出ないボケ質の良さは大きな長所。そして最短撮影は18cmと、FLEKTOGON 35/2.4と同等で、ボケ量は約1段分大きい。解像感も段違い。負けている点はない。

　中央は解像感が高いが、周辺の解像感の低さ、なだらかな後ろボケ、フリンジが出る感じはFA35/2とも少し似ている。が、FA35/2は30cmまでしか寄れない。これも負けている点はほぼない。

　が、正直にはっきり言うと、NOKTON classic 35/1.4 IIの方が好きだ。23/1.2の方が圧倒的に寄れるが、35/1.4の方が周辺までしっかり解像し、ピントの山も見やすい。中広角レンズは周辺画質が結構重要だなぁ、ということを実感した中広角初心者であった。

評価項目	Nokton 23/1.2	Nokton 35/1.4 II	FA35/2	Flektogon 35/2.4
最短撮影距離	◎ 18cm	× 70cm	○ 30cm	◎ 18cm
ボケ量（換算F値）	△ 換算F1.8	○ F1.4	△ F2	× F2.4
後ろボケ質	○	△	○	○
開放での中心解像感	△ 滲む	○ 滲む	○	△
絞っての中心解像感	◎ キレッキレ	○	○	△
開放での周辺解像感	×	○	×	×
絞っての周辺解像感	○	○	○	△
色収差	×	○	×	×
歪曲収差	○	△ 樽	○	○
周辺減光	中	大	中	中
口径食	△大	○小	△大	△大

　世の中には純正のXF23/1.4もあるが、Fujifilm XシステムはAFレンズでのAFは快適だが、AFレンズでのMFが快適ではないのだ。MFレンズでのMFは快適なので、MFを楽しむにはMFレンズが必要なのだ。サードパーティ製、例えば近日発売のSIGMA 23/1.4とかはどうなのかな？

　いつかXマウント用のAPO-LANTHARまたはAPO-ULTRON 23mmが出たら買い替えよう。X-T5でMF撮影が楽しめるレンズが7artisans 35/1.2しかなかったので、換算35mm相当がどうしても1本欲しかったのだ。

　雑な言い方をすると、このレンズは高級な7artisansみたいだ。これはこれで悪くはないのだが、Voigtlanderには、F2くらいで周辺までもうちょっと解像するレンズを望んでいた。・・・個体差かなぁ。