NOKTON 35mm F1.2 III雑感

 ちょっと前だが、今年1本目にして今年最後(予定)のレンズを買った。代償(1本買ったら1本手放す)としてTessar 50mm F2.8を手放した。まだ500枚程度しか撮っていないので、評価は暫定。

  •  レンズ:Voigtlander NOKTON 35mm F1.2 Aspherical III VM
  •  評価 :95点(暫定)

 ここ2年弱はNOKTON classic 35mm F1.4を愛用してきたが、やはりあのレンズは本当にクラシック風味なのだ。それはそれで非常に楽しいので今後も使うのだが、歪曲がなく、素直にボケる35mm大口径が欲しくなった。

 でも重厚長大なレンズは嫌なので、ちょうどいいレンズがないか調べていたら、結局またVoigtlanderに行きついた。

 買ったのは、すでにディスコンになったEマウント版ではなく、現行のMマウント版のIII型だが、中古である。サイズ・重量的には前述のclassic 35mm F1.4の倍くらいだが、許容範囲内。性能、スペックに照らし合わせると十分に小型軽量だ。

 特性はとても素直で優秀。歪曲はほぼなく、非点収差やコマ収差も良好で、中央と周辺部の画質に一貫性がある。そして前ボケも後ろボケも素晴らしく滑らか。開放ではわずかに滲みはあるが、しっかりとした芯があるのでフォーカスに迷うことはない。

 周辺画質の難と、フォーカスの山の分かりにくさのため、短期間で手放したNOKTON 23mm F1.2 X-mountとは違う。とても気に入った。

 一応弱点としては、軸上色収差と口径食は大きめ。

 名前にNOKTを冠するけれど、NOKTONはどれもだいたい口径食が大きいから、点光源を背景に入れにくい。夜よりも朝夕とかのほうが適していることに最近気づいた。

 焦点距離35mmという画角は、私の好きな77mmと組み合わせて持ち出すのに最適だ。しばらくこの2本でヘビーローテーションすることだろう。

 現状で唯一の不満は、フォーカスリングが軽めなのか、LM-EA9でAF運用している際にいつの間にか無限遠からずれていて、遠くの被写体にAFが合わないことがたまにあること。だからというわけじゃないが、このページに載せた写真は8枚/11枚がMFである。

 結論:このレンズは、めちゃくちゃ楽しい。

 でも素直で優秀すぎるこのレンズをしばらく使っていると、癖の強いclassicのF1.4が恋しくなるあたり、沼である。知ってた。