球面Summiluxの第2世代(後期型)である。誓いを破り、買ってしまった。
世代と仕様について
1stはスチールリムとして知られ、ライカ公式の復刻版(11301)も出ている人気レンズだ。この2ndはそこから基本的に光学設計は変わっていないとされるが、一部では1stよりもボケが小さくなった、画角が狭くなったなどの情報もある。まぁ、細かいマイナーチェンジはそれなりにあるのだろう。
写真はすべてM11撮って出し。レンズ補正のプロファイルは”11869/11870/11860″を適用。
コードも1stと同じ11870だし、光学設計も変わっていないんだから、1st後期とするのが妥当では?・・・とする流派もあるように見受けられた。その場合AA (11873, Double Aspherical) は3rd初期ではなく2ndとして扱うようだ。なるほど、AAとその後の3rd (11874, ASPH. 1st, Pre-FLE) は光学設計が違うわけだし、納得はいく。でも、AAは生産本数が非常に少なく、それでひと世代とするのは・・・というのがAAを3rd初期として扱っている流派の考え方なのかな?
ライカのレンズの世代をまとめたのは以下のページに。
ともかく非球面になるよりも前のモデルをまとめて、Pre ASPHと称することもあるが、日本では球面Summiluxという呼び名の方が一般的なようだ。英語でSpherical Summiluxとする記述はあまり見ない。
1stを(2ndも?)”True King of Bokeh”と称するのも見かける(復刻スチールリムの公式ページなど)が、Trueではない”King of Bokeh”はSummicron 35mm F2の7枚玉のことなんだな。別なんだな。めんどくせぇな。
じゃあ1stと2ndで何が違うんだ?というと、外観だ。先端のスチールのリムがなくなった。それ以外はよく分からない。
ああ、あと値段。1stは200万円? 2ndの約6倍である。ちなみに2ndでも無限遠ロックが付いたバージョンは100万円?ふざけておる。正直なところ、実用上は無限遠ロックはない方がいい。それらは希少だから値段が上がっているだけの投機対象だと私は理解した。
まぁ、世代の話はどうでもいいや。
描写について
描写はとりあえず、滲む。Glow(光を放つ?)と表現されることも多いようだ。そう、これがこのレンズの価値の4割だと私は思う。残り6割の内訳は、5割はライカであること、1割は小型軽量であること。
あと虹色の環状フレアも出る。似た特性のNOKTON classic 35/1.4 IIを3年半愛用してきた私になら使いこなせると信じて、気合を入れて使っていこう。
でもNOKTON classicとは違い、球面収差のみならず、コマ収差が相当ある。カモメが飛びまくる。コマ収差というよりも、コマフレアと言いたくなる感じ。もちろん少し絞れば消える。
使った感じだけでは非点収差や像面湾曲はよく分からない。歪曲収差はNOKTON classicよりも少ないように感じた。球面収差の過剰補正度合いは、NOKTON classicより少し控えめな気がする。だからか、後ボケはSummiluxの方がほんの少し素直かも。
滲むけれど、芯はある。ライカらしい滲みだと思う。F2に絞ればほぼ解消するから、滲みが嫌ならF2で普通に使うこともできる。そりゃもちろん、現代のSummicronと同等・・・というわけにはいかないだろうけど。
35mmレンズで最短が1mなのは地味につらいが、まぁ仕方ない。正確にはピントリングは1m以下まで回り、実測で約93cmだった。
周辺光量落ちはかなりある。一応、ボディ側でレンズ補正は掛けているので、多少光量は補正されているはずだが、それでもなお大きい。レンズプロファイルを設定しても、歪曲は補正されないと思っているんだけど、どうなんだろう? あとマゼンタ被りが補正されるのかな? よくわかっていない。
光学系の程度は・・・とても良い。カビ、曇りはもちろんなく、チリの混入さえもほとんどない。すごくいい。距離計の連動精度も文句ない。光学系は年代を考慮せずとも美品と言えるレベル、外観は年代を考慮すれば美品と言っていいだろう。1970年代前半の製造だと思われる。
これはオリジナルのままこの状態を保っているのか、山崎あたりで磨かれているのか、オーバーホールされているのか・・・来歴はさっぱりわからない。
虹色フレアの実験。左から右へ、少しずつ角度を変えて撮影した。浅いけど、フードは付けている。
フレアの出る角度は、NOKTON classicとよく似ていて、画面の角よりも少し外に光源があるときに出る。赤系に偏りがちなNOKTON classicよりも虹の色のバランスが良く綺麗。Super Takumar 55/1.8は画面内に光源を入れたときに出るので、ちょっと角度が違う。Super Takumarとは違い、コントラストの低下は少なめ。
当たり前だけど、高速AF、APO設計、キレッキレ、端までシャープ、シルキーなボケ、逆光耐性、絞りは被写界深度のコントロールだけ・・・などの謳い文句に心動く人には向かない。2ndだけで30年間近く作られていて、普通に玉数は多いので、投機対象としてもお勧めしない。
かとってローファイではない。激安でアレな描写を楽しむ10年前の中華レンズなどとは違う。そこは履き違えないように使っていきたい。当時の最先端、当時の最良のレンズであり、1stから光学設計を変えず約35年も製造・販売されていたわけだ。
別に現代レンズには撮れないような写真”だけ”を撮る必要はない。F1.4とF2では別レンズかと思うほど違うように、引き出しが多いのだ。私もその特性を理解し、画作り・表現に生かして、気分良く、楽しんで使っていきたい。
2本目のM用ライカレンズ
ということで、私はライカレンズはSummilux-M 50/1.4 ASPH.1本で行くんだ!とか言っていたような気がするが、半年もたたずその誓いは崩れ去ったのであった。軽量コンパクトなライカレンズが1本欲しかった。でもまぁ、これでいろいろと対極に位置する50mmと35mmがそろったので、これ以上は買うつもりはない。
なお、代わりに手持ちのレンズ数本や、細々したカメラアクセサリ多数を売って、それなりに資金を回収した。下図に示すように、総レンズ本数は10年前の水準まで減った。ちなみに20年前は・・・あー・・・無理だな。図を見ると、私は20年前に沼にはまったようだ。でもここ3年で結構本数を減らしてきたことも分かる。

あとMマウントのライカレンズという意味では、DR Summicronもあるにはあるが、一応M11では動作保証外のレンズだからなぁ。先日のM3にはとても似合っていた。
ライカらしい線の細い描写と滲みだが、ライカらしい立体感は出にくい、と思った。そこはSummilux-M 50/1.4 ASPH.が素晴らしいから、2本必要な理由はこれだな!
NOKTON classicはピント面の手前が滲むが、ピント面の奥側の切れ味は割とよく、背景としっかり分離するからか、立体感はそこそこ出る。それに対してこの球面Summiluxはピント面自体が滲むから、背景と分離しづらく、被写体が浮き上がるような立体感が出にくいのだろうか。ほわほわのピント面から、ほわーと背景に移っていく、という意味。
さて、キャラのかぶるNOKTON classicはどうするべきか? いわば本物であるSummiluxがあるんだからそれだけでいいや!ってなるのか、それともオールドレンズの雑味は取り除き、美味しいエキスだけを注入したNOKTON classicのほうがいい!ってなるのか。・・・なんかそう書くとデカフェのコーヒーみたいだな。コマ収差はカフェイン。それか豚骨スープの臭み。
NOKTON classicとの簡易比較
被写体までの距離約1mで撮影。それぞれ4枚ピントブラケットで撮って、一番解像感が高かった写真を選んでいる。ここから先はレンズ補正はオフ。
歪曲はやっぱりNOKTON classicの方が大きいようだ。周辺光量落ちは似たようなものだが、わずかにSummiluxの方が大きいかな?
パッと見で分かる通り、開放での中央の解像感は圧倒的にSummiluxの方が上。とてつもない線の細さだ。6000万画素の等倍切り出しやぞ・・・。ISO800でJPG撮って出し、かつ最短撮影距離という悪条件もありつつ。開放で滲んでも芯はある、とは思っていたが、ここまでとは恐れ入る。
上記はちょっと周辺に(中央ではない、の意味)ピントを合わせた状態で比較。両者、大差ない。なお、中央に合わせて周辺を見ると、NOKTON classicの周辺は悪くないが、Summiluxはもう酷かった。文字が読めないレベル。像面湾曲が大きいという事だと思った。
全然正確ではないとは思うけど、私の中での暫定結果は以下の通り。
| 収差など | Summilux | Nokton |
|---|---|---|
| 球面収差 | 中 過剰補正 | 大 かなり過剰補正 |
| 像面湾曲 | 大 | 小 |
| コマ収差 | 極大 | 小 |
| 歪曲収差 | 小 | 大 |
| 非点収差 | 小? | 小? |
| 軸上色収差 | 滲むからよく分からない | 小 |
| 滲み | 極大 ピント面とほぼ一致 | 大 ピント面の手前 |
| 周辺光量落ち | 大 | 大 |
| 環状フレア | バランスの良い虹色 コントラストは少し低下 | 赤が強い虹色 コントラストは低下しない |
キャラは似ているけど、細かい特性が結構違うから、両方必要だな。うん。

























