αシステム

 今はXマウントがメインシステムだが、もしEマウントをメインにするなら・・・というシステム入れ替え構想。

0. 前置き

 例えばGFXのAFはフルサイズ(FF)よりもはるかに遅いが、FFがAPS-Cよりも遅いかというと、全然そんなことはない。レンズのサイズや価格もそうだ。

 FFは表現力、機能性、サイズ等において最も高いレベルでバランスがとれており、またオールドレンズなどを使う意味でも、いい加減メインシステムをFFに移行してもいいと思う。ついでに言うと、昨今のフジには少なからず不満がある。

 現状のFFミラーレス機を見渡すと、小型軽量を重視する私にとってはSony α7系がいまだに頭一つ抜けていると感じる。デザインの良し悪しは別として、デザインが変わらないため古びないというのは地味に良い。

 他メーカーを見ると、CanonはSonyを猛追しているが、Nikonは離される一方。パナソニックやSigmaは画はともかく機能的には太刀打ちできないので、メインは無理。


 現状Xマウントのレンズは、以下の8本を所有している。これをEマウントに入れ替えるにあたって、できるだけ少ない本数で合理的かつ魅力的なラインナップを構築したい。

  • 広角ズーム  XF10-24/4
  • 標準ズーム  XF16-55/2.8
  • 望遠ズーム  XF70-300/4-5.6
  • 広角単焦点  XF14/2.8
  • 中広角単焦点 NOKTON 23/1.2
  • 標準単焦点  XF35/1.4
  • 中望遠単焦点 XF56/1.2 APD
  • 望遠単焦点  XF90/2

 だがX-T5本体とXF16-55/2.8, XF14/2.8は遺品であるため、またXF35/1.4はお気に入りであるため、手放さない。


1. 広角ズーム

XF10-24/4

用途と要件

 主に旅行に使うが、普段使いでこれと標準 or 中望遠単焦点だけ持ち出すというのも良い。

 広角端は21mm以下、旅行用としては望遠端は35mm以上欲しい。広角域はF値が明るい必要はないが、望遠端が35mmを超えて標準域に入ってくるとF値は明るい方がいい。あと、ある程度寄れないと辛い。旅行用なのでAF必須。

レンズ選定

 今使っているXF10-24/4も名レンズだとは思うが、EマウントならTamron 20-40/2.8がいいだろう。あの小型軽量なXF10-24とサイズ・質量はほぼ同等、ズーム比は多少下がるが、F値は2段以上も明るくなる。最短撮影距離も悪くない。

 Sigmaは条件を満たす選択肢がない。Sony純正ではVario-Tessar 16-35/4でもいいけど、私にとって20-40/2.8に勝っている点は特にないかな。

 標準までカバーするズームとしてはFE20-70/4やTamron 17-50/4もあるが、これらはさすがに相当でかい。この画角域が必要で、かつレンズ交換ができない状況であれば価値があるだろう。が、私にとっては20-40/2.8 + 55/1.8の方が断然いい。

XF10-24/4Vario-Tessar 16-35/4FE20-70/4Tamron 20-40/2.8Tamron 17-50/4
FF換算焦点距離mm15-3616-3520-7020-4017-50
FF換算F値(ボケ量)F6F4F4F2.8F4
最短撮影距離cm242838W:17 / T:29W:19 / T:30
外径×全長mm77.6×8778×98.587.6×13674.4×86.574.8×144.4
質量g385518886365460
中古価格7万6万15万8万8万
広角ズームの候補

2. 望遠ズーム

XF70-300/4-5.6

用途と要件

 そこまで頻繁に使わないが、猫やウサギや鳥などを撮ったり、F1や飛行機を撮ったり、日食や月食を撮ったりすることが年数回。

 要求としては少なくとも100-300mmはカバーしたい。広角端の焦点距離は短い方がいいが、画質&サイズとのトレードオフ。望遠端は400mmあると嬉しいが、なければクロップで妥協。F2.8とかは要らない。AFは速くて正確なのがいい。レンズだけで1kgを超えると首と肩と腕が死ぬので、軽いのが正義

レンズ選定

 Tamron 50-400mmはズーム域と光学性能は良さそうだが、かなりでかくて重いので、FE70-300/4.5-5.6 Gの方がいいかも。なんたって望遠は純正がいい。でもスペックとサイズと値段の消去法で選んでおり、「このレンズがいい!」というのではない。保留かな。

 どうせX-T5は手放せないんだから、XF70-300/4-5.6を使い続けるのがベストな気がする。このレンズは描写はとても良く、小型軽量だ。

 それより便利ズームのTamron 28-200/2.8-5.6がいいかもしれない。まぁでも望遠は必要になったときでいいので、考えるのは後回しだな。

 そろそろSonyもパナソニックみたいな28-200mmとか出してもいいのに。アレすぎるFE24-240mmを見るに、やはりSonyは高倍率は苦手なのか? パナソニックにできてSonyにできないのか?

XF70-300/4-5.6FE70-300/4.5-5.6 GTamron 50-400/4.5-6.3Tamron 50-300/4.5-6.3Tamron 28-200/2.8-5.6
FF換算焦点距離mm105-45070-30050-40050-30028-200
FF換算F値(ボケ量)F6-8.4F4.5-5.6F4.5-6.3F4.5-6.3F2.8-5.6
最短撮影距離cm8390W:25 / T:150W:22 / T:90W:19 / T:80
外径×全長mm75×132.584×143.588.5×183.478×15074×117
質量g5808541155665575
中古価格10万10万14万弱10万弱7万強
望遠&高倍率ズームの候補

3. 中広角単焦点

NOKTON 23/1.2

用途と要件

 散歩やスナップに使いたい。35mm前後のF1.4級が良いが、寄れるならF2までは我慢する。AFはどちらでもいい。全長は60mm程度までの薄型がいい。広角ズームでカバーしているレンジなので、こちらは数値的な光学性能は重視しない。口径食(=周辺光量落ち)はガッツリあっていい。

レンズ選定

 FE35/1.4 GMは全長が100mm近い。SigmaやSamyangを含めても、どこも35mm F1.4は性能重視過ぎて、求めている奴じゃない。

 FE35/1.8は安っぽい割に、そんなに安くない。周辺部の描写も好きじゃない。寄れるのはとてもいい。のっぺりした外観なので、全長が長く見える。あと20mm短ければなぁ。悪くはないが、積極的に選ぶほどではない。

 Sonnar T* 35/2.8は寄れない上にF値が暗く、かつボケが硬すぎる。サイズは良いが、これを選ぶことはないな。

 Loxia 35/2はちょっと高いな。あんまり調べていないけど、そこまで惹かれない。

 Sigma 35/2 DG DNは、この外観でこの長さなら許容できるが、あと5cm寄れたらなぁ。写りは超すっきり。どうしてもAFが欲しければ、これかなぁ。

 結論としては、中広角は買わない。中広角はMマウントのMFレンズでいい。具体的にはメインはすっきりボケのNOKTON 35/1.2 III、サブに小型軽量でこってりボケのNOKTON classic 35/1.4 IIかな。

FE35/1.4 GMFE35/1.8Sigma 35/1.4 DG DNSigma 35/2 DG DNAPO-LANTHAR 35/2
FF換算焦点距離mm3535353535
FF換算F値(ボケ量)F1.4F1.8F1.4F2F2
最短撮影距離cm2522302735
外径×全長mm76×9665.6×7375.5×111.570×65.462.6×67.3
質量g524280640325352
中古価格17万6万強9万6万弱10万
中広角の候補

(番外編)28mmについて

 他社もそうだが、特にEマウントの28mm単焦点のラインナップが薄い。iPhoneのせい? ズームレンズのせい? GRのせい?

 あの「なんぼほど50mm出してんねん」のSonyが、FE28/2(中古だと3万円)しかないとは。50mm派の人が持つべき広角は28mmだろうに。サードパーティを見てもSigmaもTamronも0本、辛うじてコシナからやっと1本目が出る程度。

 まぁ、20-40/2.8で問題ないけど。


4. 標準単焦点

XF35/1.4

用途と要件

 懸案の標準レンズ。35mmも好きだが、やはり私は50mmが標準だ。

 焦点距離50±5mm程度で、F値はできれば1.4欲しいが、サイズとのトレードオフ。最短撮影距離は40cm以下まで寄れればなお良い。開放から色収差が少なく周辺光量がしっかりあり(=口径食が少ない)、今どきの収差ゼロで無味無臭のあっさりボケでは満足できない。欲張り。

 標準レンズは複数持っていてもよくて、
⓪開放から解像(≒あっさりボケ)、①こってりボケ(≒絞りが効く)、②AFあり、③寄れる、④F値が明るい、⑤小型軽量、⑥防塵防滴、⑦色収差が少ない、⑧口径食が少ない
の特徴をそれぞれのレンズでできるだけ多く備えできるだけ少ない本数で⓪~⑧のすべてをカバーしたい。⓪と①、④と⑤はほぼ両立不可能なので、最低2本は必要だと言える。だから今回は、④のレンズは巨大なレトロフォーカス50/1.4であっても許容しようと思う。

 XF35/1.4(①②③⑤⑦⑧)は売らない。Sonnar T* FE 55/1.8 ZA(①②⑤⑥⑦)と、NOKTON 50/1 VM(⓪④)の寄れないコンビを含め、この3本で⓪~⑧をカバーしていた。一応AFで、寄れて、小型軽量で、写りが非常によく、ボケが美しく、色収差も口径食も少ないXF35/1.4に代わるレンズが欲しいわけだが、いや無理だな。

レンズ選定

Sony

 FE50/1.4 GMやFE50/1.2 GM(ともに⓪②③④⑥⑦で同じキャラクター)はちょっと寄れるのはいいけど、面白みのない超あっさりボケだし、口径食は酷いし、値段分の価値は感じない。NikonみたいにF1.2とF1.4でキャラを分ければよかったのに。

Zeiss (Sony)

 ちょっと古くて巨大だがPlanar T* FE 50/1.4 ZA(①②④⑥⑦⑧)はありだと思う。 描写はかなり良く、中古ならGMよりはるかに安い。口径食もGMよりだいぶいい。GM同様に絞りリングもある。だがボディがα7Cなので、ホールドが不安。小指のかかるグリップありならいけるんか?

 Sonnar 55/1.8とPlanar 50/1.4でカバーできないのは⓪と③の近接性のみ。Planarは最短45cmで特に悪くはないので、この2本で妥協はできる気はする。

Sigma

 Sigmaの50/1.4(⓪②④⑥)も50/2(⓪②⑤⑥⑦)も最短45cmだが、よく見たら50/1.2(⓪②③④⑥⑦)だけ40cmまで寄れるんだな。周辺光量だけなら古い50/1.4 DG HSM(⓪②④⑦⑧)がベストだけど、でかすぎ。

 薄くて24cmまで寄れる45/2.8 DG DNはちょっと気になる。もしF1.4のレンズを新規に買うなら、もう1本はSonnarでなく、これもありかも・・・と思ったが、やっぱりF2.8はないな。

XF34/1.4Sonnar T* 55/1.8Planar T* 50/1.4FE50/1.4 GMSigma 50/1.2 DG DNSigma 45/2.8 DG DN
FF換算焦点距離mm535550505045
FF換算F値(ボケ量)F2.1F1.8F1.4F1.4F1.2F2.8
最短撮影距離cm285045384024
外径×全長mm65×50.464.4×70.583.5×10880.6×9681.0×110.864×48.2
質量g187281778516740230
中古価格7万弱6万強10万弱17万強19万5万
標準の候補

5. 中望遠単焦点

XF56/1.2 APD

用途と要件

 被写体を注視する75~120mmくらいの焦点距離で、とにかく背景を美しくとろけさせて撮れるレンズ。ボケ質が優先だが、解像度も欲しい口径食が少ないレンズがいい。F1.4までは要らないが、ほどほどに明るいのがいい。XF56/1.2 APDみたいな残念AFだったら、むしろMFの方がいい。

レンズ選定

 既存のFA77/1.8 Limitedを使うので買わなくていい・・・んだけど、FE100/2.8 STF GMがとても欲しい。口径食がほぼなく、解像とボケが異次元で両立している。これが意外と中古なら手が出る値段で、今すぐでも欲しいくらいだ。

 SonyのGMとか興味なさそうなこの私が、唯一持っているGMがこのSTFだとすると、非常に私らしくて良い気がする。ただしかなりでかい。

XF56/1.2 APDTamron 90/2.8 MacroFE85/1.8FE100/2.8 STF GM
FF換算焦点距離mm849085100
FF換算F値(ボケ量)F1.8F2.8F1.8F2.8
最短撮影距離cm70238057
外径×全長mm73.2×69.779.2×126.578×8285.2×118.1
質量g405630371700
中古価格7万9万弱6万弱11万
中望遠の候補

6. まとめ

 そんなに深くはないけれど、KマウントとXマウントとVMマウントでレンズ沼を3周くらいした私が、イチからαでシステムを構築するとしたら・・・という構想?だった。

 私の選んだレンズは以下の通り。5本。
 ・広角 :Tamron 20-40/2.8
 ・中広角:なし
 ・標準①:Sonnar T* FE55/1.8 ZA
 ・標準②:Planar T* FE50/1.4 ZA
 ・中望遠:FE100/2.8 STF
 ・望遠 :FE70-300/4.5-5.6 G(暫定)
 あとは従来のMマウントやKマウントのレンズを使う。

 私の流儀をもって、αのレンズ沼を最短で渡り切る、最高のラインナップではないだろうか。3本の単焦点レンズはSonyでは最も味が濃く、クセのあるレンズばかりを選んでいるあたり、万人受けは全然しない。


 これまではその時のラインナップに足りないレンズや、どうしても惹かれたレンズをその都度導入してきた。普通のことである。しかしそうではなく、システムの最終的な全体像を先に想像しておいて、そこにレンズを当てはめていく、というのは初めてだ。

 例えば普段使いで1本だけ持つのであれば40mmがいいが、2本持つなら35mmと50mmのほうが良かったので、そのとき1本目に買った中途半端な40mmは宙に浮く。最初に最終的なシステム像を考えておけば、この40mmは買わなかっただろう、というような感じ。


 FE70-300/4.5-5.6とPlanar 50/1.4は保留として、Sonnar 55/1.8はすでに所有しているので、Tamron 20-40/2.8とFE100/2.8 STFだけならば、手持ちを2, 3本売ればほぼ持ち出しなく導入できる。この3本(20-40/2.8, 55/1.8, 100/2.8)でとりあえず一通りは満足できる。

 で、もしXシステムに愛想が尽きたらXF70-300もFE70-300に入れ替える。さらにもう1, 2本くらい手放してPlanar 50/1.4を買う。

 ストロボは調査していないが、純正の優位性はあるんかな? めったに使わないので、必要になるまで買わないけど。