カメラのファインダー

 多分、私はファインダーにこだわりがあるようで、全然ないんだろうな。ファインダーが付いていれば文句を言わない?レベルで。

M11 + SUMMILUX-M 50/1.4

一眼レフ時代

 初めての一眼レフカメラは、今も使っているNikon FE2で、このファインダーが見やすいのか見にくいのか知らないが、特に不満はない。マイクロプリズムは全く使っておらず、スプリットイメージで合わせている。正直、どれが世間でファインダーが良いと言われる一眼レフなのかも知らない。そんなに違うものなのか?

 デジタル一眼レフ時代はPentaxだったが、これも特に見え方に不満はなかった。でもPentaxはミラーやスクリーンの精度の問題なのか、ファインダーでばっちり合わせても、実際に撮れた写真では微妙にずれていることがあった。これはとても不満だった。K-1とかはレンズごとにAFを微調整できたが、MF時はそうはいかないし。

 ちなみにフルサイズ用のマイクロプリズム&スプリットイメージのスクリーンを自分でカットして入れたりもしていた。でもAPS-Cなので、プリズムとスプリットの範囲が相対的に大きくなり、普通に使いにくかったので、メイン機には入れていなかった。スクリーンの精度は標準品よりもさらに下がるしね。

APS-C用にカットしたスクリーン

 Nikon D600+Planar T* 50/1.4 ZF.2ではピントの山がとても見にくくて、Pentaxの方がいいなと思っていた。Pentax K-1はあの図体は好きじゃないが、ファインダーはとても気に入っていた。しかし、その頃はもうEVFの時代が始まろうとしていた。

M11 + SUMMILUX-M 50/1.4
M11 + SUMMILUX-M 50/1.4

ミラーレス(EVF)時代

 一瞬だけ使っていたNEX-6が私にとっての初のEVFだったが、背面液晶やPCモニターよりもEVFで見た方がとても立体感があり、断然良い写真なのだ。困る。撮る前から撮れる写真が見えている、という今どきのEVFの当たり前とはちょっと違った。

 X-E1ではEVFで見ている絵とPCのモニターで見る絵がほぼ一致していた。原理的に当たり前だがEVFでピントを合わせれば、実際に撮れる写真も絶対にピントが合っている。これはもうミラーレスの時代が来るな、と確信するに至った最大の理由はEVFの存在と進化だった。

M11 + NOKTON classic 35/1.4

 撮る前から露出もホワイトバランスも分かる。ボケ量もボケ質も、口径食も分かる。さらにはEVFでは覗きながら絞りを操作すると、その収差が変化していくのが分かるのは感動ものである。滲むレンズだと、その滲み量と滲ませる位置を見ながら調整したりもできる。

 対して、一眼レフの絞り込みレバーは撮れる写真のボケ量を全然再現しておらず、何の意味があるのやら。その機能、本当に要る?

M11 + SUMMILUX-M 50/1.4

 初のフルサイズミラーレスはα7Cで、これはEVFを搭載したフルサイズミラーレスのうちでは最底辺のファインダーだとは思うが、そんなに不満はなかった。拡大できるからピントや収差は分かるし、露出やホワイトバランスについてもEVFと撮れる絵の一致度はフジよりも良好だ。

 そりゃ店頭で触ってみてNikon Zシリーズや、Sonyでも高級機のEVFはもっともっと良いことは知っていた。だがそれを理由にそれらのカメラを欲しいとは思わなかった。実際α7Cから買い替えたのは、やっぱり最底辺に近いEVFを持つα7CRだった。

 しかしEVFのないミラーレスなんて、ハイボールのウイスキー抜きみたいなものである。実際には背面液晶で撮ることもそれなりに多いんだけど、EVFに限らず、ファインダーのないカメラはやはり買う気がしない。

M11 + SUMMILUX-M 50/1.4

レンジファインダー

 ある日、M型ライカを使ってみようと決意した。買う前は、EVFが最高だと思っている私には無理かもしれないと割と本気で懸念していたが、使ってみた結果、意外と全然アリだな、と思っている。

 ライカ信奉者の中には、MFなら慣れたらEVFや一眼レフよりもレンジファインダーの方が速いとか、適当なことをいう人もいるが、それは嘘だと思う。被写体までの距離の目測、レンズの指掛かり位置とピント距離の関係について、同じだけ修練を積んだならば、普通にMF速度は同じだと思う。電源オフからスタートなら、カメラ起動前からピントを合わせ始められる、という意味ではEVFよりもピント合わせ自体は多少速いかもしれないけど、撮れるようになるまで(起動時間)はM11は遅いよ。

 また素通しのガラス越しに見ているので夜でも見やすいとかいう人もいるが、これもあり得ない。当たり前だが肉眼でよく見えないような暗い夜道では二重像も見えない。対してEVFは肉眼で何も見えない暗さでもはっきり見える。レンズやスクリーンやプリズムを通して見ている一眼レフよりは明るい、という意味なら、その通り。

M11 + COLOR-SKOPAR 50/2.2

 逆に言うと、対象が目で見えていればファインダーの二重像も見える。レンズを通した像を介さず、距離だけを頼りにピント位置を合わせるので、ピントの山が見えにくいレンズでも関係ない。なので小口径レンズや広角レンズでのピント合わせの正確さと容易さは一眼レフとミラーレスを上回る。小柄なボディとのマッチングや、ファインダーを邪魔しないという意味でも、小口径レンズはM型ライカと相性が良い。

 もちろんボディやレンズの距離計連動が非常に高精度に調整されていることが絶対条件にはなる。幸いにして、私の持っているレンズ、ボディはすべて全く問題ない。ライカもコシナもよくやるものだ。

M11 + COLOR-SKOPAR 50/2.2

 ということで、ファインダーのないカメラはコンデジを除いて買ったことはないが、すごくファインダーの見え方を重視している、とはとても言えないのだった。

 要するに、私はピントがしっかり狙いの位置に合わせられて、構図を合わせられる以上の機能を、ファインダーに求めていないんだろうな。もちろん、それに加えて露出や収差が見えるという意味でEVFがベストだという考えは変わっていない。

 ・・・なのでもしM12?が(M11からサイズアップなしに)レンジファインダーとEVFの切り替え式ハイブリッドファインダーになったら、私は地団駄踏んで悔しがることだろう。

M11 + NOKTON classic 35/1.4

 なお私が思うには、初心者なら一番成長につながるファインダーはEVFだ。最初からレンジファインダーはお勧めしない。フィルムカメラはもっとお勧めしない。ピント位置や絞り、露出やWBをどう変えたらどうなるのか、のフィードバックのループがEVFは圧倒的に速いからだ。

 一眼レフでもレンジでも、デジタルなら撮ってその場で背面液晶でチェックできるし、ライブビューなら基本的にEVFと同じだから、悪くはないのだが、EVF付きのミラーレスと安いオールドレンズ(NikkorやTakumarでいい)でいろいろ試してみるのが最も効果的だと思う。

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